2025年春学期の実践通訳上級(Advanced Interpreting Practice)の授業が終了しました。この授業が、ICUで開講されている通訳の授業の一番上のレベルです。ここまで駆け抜けた皆さん、おめでとうございます!今回も、TAを担当しました太田梨胡が、履修生のコメントも紹介しながら、授業を振り返ります。
まずはTI Friendsより 嬉しいお知らせから
今回の授業報告ブログをもって、ついに全ての通訳授業を一周しました!TI Friends managerとして、ここまで続けてこられたことを非常に嬉しく思います。このサイト開設と同時期に始まった、2024年秋学期のBeginners Interpreting Practiceレポから始まり、冬学期開講のInterpreting in Society, Introduction to Interpreting、2025年春学期のMedia Interpretingを経て、Advanced Interpreting Practiceで1サイクルとなります。TAとしてこのブログ執筆にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。また2サイクル目も、私も頑張っていきますので、ご協力よろしくお願いいたします!
さて本題へ
MCC331: Advanced Interpreting Practice
ブログ概要にも記載されていますが、実践通訳上級は、ICUの通訳の授業の中で最も高いレベルであり、これまでの100番台、200番台の授業で得られた知識をフル活用し、さらに洗練された訳出を目指す授業になります。主なアクティビティは三つ:1). お馴染みの weekly vocabulary quiz、2). 初級にもある リプロ dialogue presentation、3). Conference Interpreting Chapter Presentations & Consecutive Interpreting です。もちろん、通訳者の役割や、業界での問題などについて考え、議論する時間もあります。
授業で扱われるトピックやその内容も一段と難しくなり、ノートテイキングにも工夫が必要になります。また、プレゼンテーションでは、発表者は名刺サイズのメモのみが使用可能となっており、また通訳者も、ペンのみを持って前に出る必要があります。数年前まではプレゼン原稿を作成し、それに応じて訳する、あるいはあらかじめ訳した原稿を用意するという方法もありましたが、現在は、事前のスライド共有のみ可能で、本番では何が起こるかわからないという緊張感の中で通訳する必要があります。よって、プレゼンの内容を発表者以上に理解できていないと、完璧な/伝わりやすい訳出をすることは非常に難しくなりました。私も聞きながら少し緊張感を味わっていましたが、皆さん本当によく頑張っていらっしゃったと思います。
また、最終試験では、準備した資料を使いながらの同時通訳、そして資料なしの(トピックは事前にお知らせ)逐次通訳の二つの試験が行われました。同時通訳の試験においては、それぞれが異なるストラテジーを使っている姿が見られて、とても興味深かったです。逐次通訳のように要点を押さえたメモを使用する方、単語リストを作ってそれを見ながら訳した方、事前にプレゼン内容が決まっているのであらかじめ原稿を用意した方、また原稿・ノートをほぼ無しで生同通のような挑戦をした方。それぞれの個性が出た最終試験だったと思います。「ここまで皆やり方が違うのか!」と驚きながら、後ろから見守っていました。学生の皆様お疲れ様でした。
逐次通訳においては、皆さんのいつも以上のパフォーマンスを拝見することができ、しっかり準備されたんだなと感心しました。また、私もTAという立場ではありますが、同じ通訳訓練生として、日本語と英語どちらにおいても多くを学ぶことができ、「その表現は使いたいな!」とインスピレーションを受けつつ、「自分も全然まだまだ過ぎるわ、、、」と大変反省しておりました。
これまでの学びを活かして、本当に皆さん頑張って食らいついていったと思います。Vocabulary quizの時に、スピーカーが話し終わって3秒以内に手を上げて訳出しなければならない「3秒ルール」に苦しめられた方も多いかと思います。ですが、実践の場に行くと、どれだけその「3秒ルール」が大切か、これでもかというほど痛感します。私の経験上「1秒ルール」でも良いくらい(笑)。3秒でもだいぶ恐ろしいくらいの間を感じるので、自分は早く訳出を始めたつもりでいても、後で聞くと「え、なんでこんなに間があるんだ!?」と驚愕します。とにかく早く出す、でも洗練された訳である、そして伝わりやすい、この三つを心がけて、これからも(私もですが)頑張ってください!
最後に、履修者からのコメントです。学生の「生の声」を読んで、是非上級までの受講を検討してください♪ ※私が質問を英語で聞いてしまったので、ここからは英語になります。少々編集したりまとめたりしました。
Q. Tell me about the experience in this class.
A. The class level was appropriate for me, not too hard and not too easy. I learned to understand the logic of the original speech and reflect it in my translation. I struggled with “Repro Dialogue”. Understanding the nuance of Japanese dialogues and expressing them in English requires your deep cultural understanding. Bicultural translation is still a big challenge for me.
A. Professor Tamura pushed us harder than in previous classes to interpret the intended meaning behind what was said, especially when the speaker’s actual words don’t make much sense. It was big challenge, but I learned a lot.
Q. Since you’ve completed all of the interpreting courses, what are your goals from now on?
A. I want to learn as much as possible from our professor and classmates. But also I want to be able to give them something, not just getting something from them.